· 

6. 感情について

 今回は感情について少し考えてみたいと思います。

 

ある方が相談に来られて「先生、不安な感情を持たないようにするにはどうしたら良いですか?」と尋ねられました。

それに対して「不可能なことです。」とお答えしました。

これはそもそも問い自体に無理があるのです。

何故なら、感情とはすでに神様が私達の内に備えて下さったものであり、それは車で言えばメーターのように私達の中で起こっていることを知らせてくれるものだからです。

 

給油メーターのランプが目ざわりだからと言ってメーターを壊せば問題が解決するわけではないのと同じです。

例えばさきほどの「不安」の相談に関して、もしも私達に危険が迫っている時に不安な感情が起こらないと大変な結果に至ってしまいます。

また、将来に関して、何も不安が起こらないなら無味乾燥な生き方になってしまいます。

不安な感情は私達を危険から守ったり、適度な緊張感を生み出す役割を持っているのです。

 

逆に、不安な感情や否定的な感情が起こらないとしたらその方が問題です。

ですから「不安な感情を持たないように」ではなく「不安な感情をどのように取り扱ったら良いのか」という問いの方が現実的です。

 

次に不安や罪悪感と言った否定的な感情が起こった時にその感情に留まることは非常に困難ですので大抵、二種類の行動を取ります。

一つは一生懸命頑張って否定的な感情を取り去ろうというタイプともう一つは見て見ぬふりをしたり、何かに依存して問題から逃げようとするタイプです。

 

表面的には大きな違いがありますが否定的な感情を何とかするためにやっていることとして根本は同じです。

否定的な感情への対処として様々な方法がありますが、基本としては孤立したままでいてはいけないということです。

孤立した状態は悪化することがあっても良くなることはないからです。

特に罪悪感の場合、聖書の示す罪とそうでないものを混同しやすいので孤立していますと聖書が罪としていないことまで罪悪感を感じるゆえに罪と理解し、自分自身を責め続けるという悪循環が起こることもあります。

勿論、罪とされていることに対しては悔い改めが必要です。

否定的な感情への対処として正直に心を分かち合え、受け止めあえる安全な場があると最高です。人は交わりの中で癒され、成長してゆくように造られたからです。

 

(人がひとりでいるのは良くない 創世記2:18)